Curaの使い方|3Dプリンター定番スライサーの初期設定
Curaを開くと、画面の右側に設定項目がずらりと並びます。
UltiMaker Curaは無償のオープンソースソフトで、カスタムモードでは400を超える項目を触れますが、最初の1個を印刷するのに必要なのはレイヤー高さ・インフィル(充填率)・サポート・ビルドプレート密着性の4つだけです。
残りは機種ごとの推奨プロファイルの既定値のままで印刷できます。
本記事では、プリンター登録からGコード書き出しまでの手順・4項目を外したときに起きる失敗・PLAとPETGとTPUで変わる設定を解説します。

おうち3Dプリンター編集部
おうち3Dプリンター編集部です。家庭用3Dプリンターを「家電のように迷わず選べる」状態にすることを目指して、機種の比較、フィラメントの選び方と保管、設置環境づくり、印刷トラブルの対処を解説しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
Curaの使い方は、プリンター登録から始まる5つの手順
最初にやるのはプリンター機種の登録で、ここを間違えると以降の設定がすべてずれます。
インストール後の初回起動で機種を選ぶ画面が出るので、手持ちの機種を一覧から選び、一覧に無ければカスタムプリンターとして造形サイズとノズル径を手入力します。
登録が済めば、あとは毎回同じ流れです。
- 3Dデータを読み込む(ドラッグ&ドロップで配置される)
- モデルを回転・移動させ、プレート上の位置と向きを決める
- 推奨プロファイルから層の細かさを選び、インフィルとサポートを調整する
- スライスを実行し、プレビューで中身を確かめる
- Gコードを書き出してmicroSDやネットワーク経由でプリンターへ送る
機種登録で確かめるのは造形サイズとノズル径
造形サイズは機種によって大きく違い、Bambu Lab A1 miniなら180×180×180mm、A1やP1Sなら256×256×256mmです。
ここに実機より大きい数値を入れると、プレートからはみ出したモデルでもCuraが警告を出さずにスライスしてしまいます。
ノズル径も同様で、0.4mmの機種に0.6mmと登録すると線幅の計算が合わず、壁がスカスカになったり樹脂が過剰に出たりします。
ノズルを0.2mmや0.8mmに交換したときは、Cura側の設定も必ず書き換えてください。
プレビューは層を1枚ずつ送って見る
スライス後のプレビュー画面には、右側に層の縦スライダー、下側に押出経路のスライダーが出ます。
確認したいのは1層目が想定どおり埋まっているか、空中から始まる部分にサポートが付いているか、壁が何周あるかの3点です。
造形時間とフィラメント使用量もここに表示されるので、想定の何倍もかかっているときはインフィルかサポートの設定を見直します。
4項目を既定値のまま印刷したときに起きること
推奨プロファイルは万能ではなく、モデルの形によっては既定値のままだと失敗します。
サポートがオフのまま、空中から始まる面があるモデルをスライスすると、ノズルは何も無い場所に溶けた樹脂を置くので、その層は垂れ下がります。
プレビューでは層が見えているため、画面上は成功しているように見えるのがやっかいなところです。
密着性(ブリムやラフト)の設定も同じです。
接地面が小さい背の高いモデルをブリムなしで印刷すると、途中でモデルが剥がれて以降の層が宙に積まれます。
逆に全部のモデルにラフトを付けると、底面の仕上がりが荒れて剥がす手間も増えます。
接地面の広い箱ものはなし、細い脚や薄い板はブリム、という使い分けが現実的です。
インフィルは強度と時間の両方を決める項目です。
飾りや試作なら10〜15%程度で足り、力の掛かる治具や固定具なら密度を上げるか壁の周回数を増やします。
壁を増やすほうが同じ時間で強度を稼げる場面も多いので、インフィルだけを上げ続けないでください。
レイヤー高さは、0.2mmを基準に、細かい造形なら0.1mm台、速さ優先なら0.28mm前後という調整です。
Curaでよくある失敗と直し方
モデルのサイズが実物と合わない
読み込んだ瞬間にモデルが極端に小さい、または巨大になるのは、データ側の単位がインチやメートルで作られているためです。
Curaは読み込み時に単位をmmとして扱うので、1/25.4や1000倍のずれが起きます。
スケール欄に数値を直接入力して直せますが、何度も配布データでこれが起きるなら、データの素性のほうを疑ってください。
STLファイルとは何かを解説した記事では、単位情報を持たないというSTLの仕様そのものを解説しています。
スライスできない・モデルが一部消える
スライスボタンを押しても進まない、または一部の面が抜けて出力される場合は、メッシュに穴が空いているか、面の裏表が反転しています。
Curaにはモデル修復の専用機能は無いため、元データ側で直します。
メッシュを直す手順はBlenderで3Dプリント用データを作る手順で解説しています。
手早く済ませたいなら、同じモデルを別のサイトから探し直すほうが早い場合もあります。
糸引きや表面のブツブツが出る
モデルの間に細い糸が渡るのは、移動中にノズルから樹脂が垂れている状態です。
関係するのはリトラクション(引き戻し)の距離と速度、それと印刷温度で、温度を下げるほど糸は減りますが、下げすぎると層同士がくっつかなくなります。
フィラメントの袋や台紙に書かれたメーカー推奨の温度レンジの中で、5℃ずつ動かして試すのが安全な詰め方です。
PLA・PETG・TPUでCuraの設定が変わるところ
同じプリンターでも、印刷素材が変わればプロファイルを分けます。
PLAは冷却ファンを強く回したほうが角が出て、低めの温度でもよく積めます。
PETGは粘りがあるぶん糸を引きやすく、冷却を強めると層間が弱くなるので、ファンを絞り、リトラクションを控えめにします。
1層目がプレートに食いつきすぎてPEIシートの表面を持っていくことがあるため、Zオフセットをわずかに上げるか、のりを薄く塗って離型させる対処がよく使われます。
TPUは柔らかく、引き戻しの距離を長く取るとフィラメントが押出機の中で座屈して送れなくなります。
リトラクションを短く、印刷速度も落としてください。
Bambu Lab A1 mini・A1の公式仕様では推奨素材がPLA・PETG・TPU・PVAとされ、ABS・ASA・PC・PAは推奨ではないと明記されています。
オープンフレームで庫内温度を保てないためで、Cura側にABSのプロファイルがあっても、非推奨の機種で選べば反りや層割れが出ます。
| 素材 | Curaで触る項目 | 外したときの症状 |
|---|---|---|
| PLA | 冷却ファン100%・標準のレイヤー高さ | 冷却不足でオーバーハングが垂れる |
| PETG | ファンを絞る・リトラクション控えめ・Zオフセット | 糸引き、プレートからの剥がれにくさ |
| TPU | リトラクション短め・速度を下げる | 押出機内で詰まり、途中から出なくなる |
Curaに要るものと、無くても代用できるもの
必要なのはWindows・Mac・Linuxのいずれかが動くパソコンと、3Dデータ、そしてプリンターへの転送手段の3つです。
Curaは無償でダウンロードできますが、配布元はUltiMakerの公式サイトを使ってください。
スライサーは公式を装った配布サイトが出回ることがあり、OrcaSlicerでは開発元のGitHubが偽サイトへの注意を出しています。
転送はmicroSDカード、USB、ネットワークのどれかで、使える方式は機種によって決まります。
モデリングソフトは必須ではありません。
Curaが読み込めるのはSTLやOBJ、3MFに加えてSTEPとIGESで、CAD形式をそのまま開けるため、配布データを印刷するだけなら自分で作る必要はありません。
データの入手先は無料データサイトのまとめで安全な探し方まで解説しています。
既存のデータを少し寸法変更したいという段階になったら、3Dデータの作り方で初心者向けの手順を解説しています。
Gコードを使い回せなくなるタイミング
書き出したGコードは、そのプリンターとその設定に紐づいた命令の塊です。
フィラメントの銘柄を変えたとき、ノズル径を交換したとき、Cura本体を更新してプロファイルが初期化されたときは、同じモデルでもスライスし直してください。
とくにノズル径の変更を忘れたまま古いGコードを流すと、0.4mm用の線幅で0.8mmのノズルから樹脂が出続けます。
季節による室温の変化も、PETGやTPUでは反りや定着に出ます。
冬に失敗が増えたら、温度設定より先にフィラメントの乾燥状態を疑うほうが早いこともあります。
スライス設定を詰めるより、印刷素材の保管を見直したほうが結果が変わる場面は多くあります。
配布データ側の更新にも注意が必要で、Printablesの使い方では、作者がモデルを改訂したときの版の見分け方まで解説しています。
よくある質問
Curaは日本語で使えますか
環境設定の中に表示言語の項目があり、日本語を含む複数の言語に切り替えられます。
ただし設定項目名の日本語訳は英語名の直訳に近く、ネットで調べ物をするときは英語の項目名のほうが情報を見つけやすい場面があります。
どちらの表記も控えておくと探しやすくなります。
手持ちのプリンターがCuraの機種一覧にありません
カスタムプリンターとして造形サイズ・ノズル径・ベッド形状を手入力すれば登録できます。
ただし対応スライサーはメーカーが公式に案内しているので、まずそちらを確認してください。
ELEGOO Centauri Carbonの公式仕様ではElegooSlicerが推奨とされ、OrcaSlicerとCuraにも対応と記載されています。
純正スライサーが用意されている機種では、そちらのほうが初期設定で済む範囲が広くなります。
設定を触りすぎて元に戻せなくなりました
プロファイル名の横に変更済みを示す表示が出ている状態なら、プロファイルを破棄して既定値に戻せます。
自分で詰めた設定を残したいときは、先にカスタムプロファイルとして別名で保存してください。
素材ごとにプロファイルを分けておけば、PLAとPETGを行き来するたびに数値を入れ直す手間がなくなります。
配布データのライセンスはCura側で分かりますか
分かりません。
Curaはモデルの形状データだけを扱うため、商用利用の可否や改変の許可はダウンロード元のページで確認します。
サイトごとの表示ルールはThingiverseの使い方と注意点で解説しています。
まとめ
Curaで最初に決めるのはプリンターの造形サイズとノズル径で、ここが合っていれば残りはレイヤー高さ・インフィル・サポート・密着性の4項目の調整だけで印刷まで進みます。
400を超える設定項目は、失敗の原因を1つずつ潰す段階になってから触れば足ります。
印刷素材を変えたときとノズルを交換したときは、古いGコードを流さずスライスし直してください。
ぜひ本記事の5つの手順と素材別の設定表を参考に、まずは手持ちのフィラメントで小さなモデルを1個通してみてください。



